ワー

6/25

雑記

髪を切る

月イチの義務として髪を切った。行きつけの店にはタブレット端末が置いてあり、髪を切られている間はサブスクで読める中から好きな雑誌を読んで良いことになっている。大学生の頃に通っていた店では美容師さんが客を見て雑誌を持ってくるシステムだったので、隣の客の前にある「MEN'S NON-NO」と自分の前に毎回並べられる「関西ラーメンガイド」を見比べては内心拗ねていた。しかし最近は、タブレットの普及のおかげでそういう事故はなくなったようだ。ありがたいことである。
とはいえ、雑誌にまつわる苦難はまだ消え去ってはいない。髪を切られている間は当然自分が何を読んでいるかは美容師さんに見られてしまうわけで、なんとなくそれが気にかかるのである。『ダ・ヴィンチ』の「短歌ください」のコーナーが好きで、というかそこ以外はほとんど興味がないので、美容室程度でさっと読むのには最適なのだが、なんとなく「美容室でダ・ヴィンチを読んでいる自分」というのが気に食わない。近眼である、髪を切っている間はメガネは脇に置いているから、自然タブレットにかじりつくようにしてカルチャー本を読むことになる。その惨めな様子が、刃物を持った男に頭を刈られている、もっとも無防備な状態で晒されるわけである。これはかなり嫌じゃないだろうか(そうでもないですか?)自意識がデカすぎるということは重々承知しているのだが……
幸いにして、美容師さんから読んでいる内容に言及されたことはない。趣味を訊かれたので無難に「筋トレを始めた」と答えたところ、「え、じゃあ食事とかも結構ストイックにやってるんすか? すごいっすね~!俺絶対飲み会終わりにラーメンとか食っちゃうんでw」と返された。僕もラーメンは好きだ。かつては関西ラーメンガイドを毎月のように読んでいたから。

よかったもの

note.com

note.com

馳星周『少年と犬』

読み終わった。一段落が短く会話の多いエンタメ調で、話も超わかりやすい。 ちょっと狂信的なきらいすらある動物譚なのだが、作者がノワール作家ということもあるのか、全編にわたって登場人物はハードボイルドのそれであり、濃厚な死の香りが漂っている。
火の鳥」っぽいなと思いながら読んでいたが、直木賞の選評を見ると「西部劇の典型」と言われていた。確かに一編一編のドライさからはそういう印象も受ける。
馳氏は現在、小説すばるにて競走馬ステイゴールドをモデルにした小説「黄金旅程」を連載中だ。それの予習という意味もあって本作を読んだのだが、これだけ動物を愛し、かつ人格を創造したり擬人化したりといった過剰な踏み込みをせずに描ける作家なら安心できる。単行本の発売が待ち遠しい。にわかファンだけど、ステイゴールドが好きだから……

SAULT - NINE

saultglobal.bandcamp.com

新譜が出て本当に嬉しい。SAULTらしい肉感のあるビートはそのまま、今回はBlack Isのような強硬さもRiseのような祝祭感もなくスムーズに運んでいく。歌詞は全然わかってないけど、なぜ「NINE」なんだろうか? 表題曲の「9」が好き。

Kroi - LENS

youtu.be

アシッドジャズやモータウン、ファンクといったジャンルを軽快に飛び移っていく新進気鋭の1stアルバム。前半はよかったが、後半の半端なリリカルさはあんまり。