ワー

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雑記

清澄白河

起きたら天気が良かったので、東京都現代美術館に行くことにした。しかし初めて行くところなので、勝手がわからない。経路を調べるためにGoogleマップを開き、「せいちょうしらかわ」と入力する……なぜか変換できない。東京都内の駅なのに? それもそのはず、「清澄白河」は「きよすみしらかわ」と読むのだった。なんでも、かつては江戸の下町として、今ではアートとカフェの街として人気があるらしい。関東に来て3年目、読み方を初めて知りました。

横尾忠則

特別展は画家・横尾忠則の大規模個展。ちょっと前に母親が気にしていたので「知らん」と言ったら驚かれた覚えがある。どうもアングラグラフィックデザインで有名な人らしく、最近ではNHK大河ドラマ「いだてん」のロゴも手掛けていたそうな。
作品ひとつひとつはほ~んという感じだったが、とにかくデカい絵が大量に並んでいるので、体験としてかなりエキサイティングだった(小学生並みの感想)。特に「Y字路」の展示はよかった。朝のY字路、人気のないY字路、真っ暗なY字路、寝つけず歩き回っているときのY字路……最終的に超現実的な風景と接続されていくY字路。一切の「私」的な要素を排除した普遍的な絵画を試みた、という元のテーマからどんどんひとつのアイコンに移り変わっていく様子がよくわかる。壁を埋め尽くさんばかりの同じテーマの絵をつづけて見ていると、嫌でも納得感を抱いてしまう気がする。

Y字路の原点 新作「黒い光 その1」/西脇市

2000年に故郷西脇市を訪れた際、すでに店がなくなっていることを知った横尾氏はその跡地をカメラでフラッシュ撮影しましたが、できあがった写真には逆説的に見覚えのない風景が写っていました。故郷へのノスタルジーが消えていき、単なる個人的な思い出から引き離された普遍的な個の意識が立ち上がるのに興味を抱いた横尾氏は最初のY字路作品となる「暗夜光路N市-I」(2000年横尾忠則現代美術館蔵)を制作します。

個人的には普遍的な初期のY字路を見て「どれみと魔女をやめた魔女」を思い出したけど、やっぱりあの画の不安になるほどの厳然とした感じとY字路シリーズには共通するものが……あるんですかね。あんまり適当なことを言わないほうがいい。

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おジャ魔女どれみドッカ〜ン!第40話

特別展示:マーク・マンダース 保管と展示

6月までやっていたが緊急事態宣言の影響でついに行けなかったマーク・マンダース展、その作品を返却するまでの期間限定で展示してくれているらしい。どちらかというと横尾忠則展よりこちらが本命だった。
めちゃくちゃ良かった。まず展示室に入った瞬間に息を呑む。まったく粘土そのままの像が、ロープによって机や椅子に繋ぎ止められている――まったく静止しているのに、今にもすべてが弾け飛びそうな緊張感に満ちている。まともに息ができない。
作品数にして10点あるかないか程度の小規模な展示ではあったが、それでも十分満足できたと思う。後でパンフレットを読むと、「緊密な関係性にあった特別展の展示とはちがい、今回はゆるやかに配置した」というようなことが書いてあってビックリした。あれでゆるやかなのか。確かに無造作に置いてある形ではあったが、作品ひとつひとつの緊張感がすごいので全然そう感じなかった。この形式でこれほどだったら、特別展はどれほどの緊張感に満ちていたんだろうか。本当に、行っておけばよかった……

追記:粘土製だとばかり思っていた像は、実はブロンズ製だと教えていただきました。あ、あれが……ブロンズ!?

よかったもの

野田サトルゴールデンカムイ

ようやく追いついた。めっちゃくちゃ面白い。
鶴見中尉と尾形が好き。ぼくを第七師団に入れてください。鶴見中尉がVTuberになったらファンは第七師団って呼ばれるんかな(?) 配信タグ:#鶴見劇場

北村紗衣『批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書く』

半分くらい読んだ。著者はシェイクスピアの研究家で、前作はちょっとTLで話題になった『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』(フェミニズム批評+書肆侃侃房ということでごくごく狭い界隈で話題になっただけカモ……)
批評の根本の部分を軽快に、それでいて現代的な価値観に合わせて語っている印象。個々の道具立ての意味や歴史にはあまり突っ込まず、実例を交えて「作品について語る」という行為の手引きを示してくれている。例として出てくる作品も「ごんぎつね」みたいな誰でも知っている話から『アベンジャーズインフィニティウォー』、『リア王』や『ドクター・フー』と幅広い。それだけ何にでも応用できる内容だということで、まとまった量の批評を書くのにはだいぶ役立ちそうだ。シャニマスのnoteを書く方々には特にオススメの一冊です。