ワー

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雑記

運転

さまざまなお使いで方方へ車を走らせた。
かつてはあれだけ必死に自転車を走らせた道も、車を使うとものの数分で走れるようになり、ゲームのショートカットアイテムを手に入れたときのような不思議な気持ちになる。けれど、実際のところはそもそもこの町の施設配分は車前提になっているのであって、子供たちが縛りプレイを課されていただけなんだろう。
昔からずっと感じていた「アウェー感」というか、この町のメインの生活者層では少なくともないな、という感覚は、この距離感覚から来ているところも大きいはずだ。

よかったもの

中上健次『岬』

読み終わった。芥川賞を授賞し、「戦後に文学は生まれない」という世論を吹き飛ばしたとされる表題作「岬」のほかにも、初期作品3編が収録されている。
共通するテーマ──閉塞的な田舎、複雑な生まれからくる疎外感、父親譲りの暴力性、それら全てが影を落とす息苦しさ──がはっきりと見てとれる分、「岬」の土方仕事の描写が傑出していることがよくわかる。個人的には「火宅」がいちばん好きだけど、「岬」が芥川賞をとるのは納得。