櫻木真乃さんと聴く! 鳥ジャケットのロックアルバム
(さて……そうは言ったものの……)
(真乃が、どういう曲を聴きやすいと思うのか……)
(これは結構難しいぞ……)
(そうだ、音楽性がわからないなら、ジャケットから親しみを持ってもらえばいいんじゃないか……!?)
(「ジャケットに鳥が描かれたロックアルバム」うん、これでいこう……!)
- 1. Death Cab for Cutie - Transatlanticism
- 2. Camel - The Snow Goose
- 3. Emerson, Lake & Palmer - Emerson, Lake & Palmer
- 4. Them Crooked Vultures - Them Crooked Vultures
- 5. Mogwai - The Hawk Is Howling
- 6. ハイスイノナサ - 動物の身体
- 7. OOIOO - Feather Float
- 8. スカート - 20/20
- 9. Elis Regina - Elis Regina In London
- True End: ソラトブサカナ
【登場人物】
【P】高校生の頃友達に誘われてギターとコーラスを担当したことがあるが、誘った当人が飽きたのでバンドも自然消滅した。
【櫻木真乃】撮影でフルートを触らせてもらったことがあるが、最後まで音が出なかった。
そんなわけで、今日は鳥がジャケットに描かれているロックアルバムを紹介しようと思う
ほわっ、とっても楽しみですっ
じゃあ早速、最初のアルバムだ!
1. Death Cab for Cutie - Transatlanticism
ほわっ、カラスさん……いえ、ムクドリモドキさんでしょうか。糸に絡まっちゃってますっ
アメリカのインディーロックバンド、Death Cab for Cutieが2003年に出した一枚だよ。赤い糸が絡まった鳥のジャケットが示すとおり……なのかはわからないけど、相手のことを想う痛切な気持ちが詰まった一枚なんだ。ロックとはいっても、メロディが美しい曲が多いから、きっと聴きやすいと思うよ
最初はちょっぴり音が大きくてびっくりしちゃいましたけど、透明で、伸びやかで、綺麗な歌声です……っ
圧巻は7曲目の「Transatlanticism」。遠く離れた、会えない相手のことを想う気持ちが、「I need you so much closer」という切実な繰り返しに込められていて、聴くだけで切なくなってきそうだ
そういえば最近は一人のお仕事が多くて、灯織ちゃんとめぐるちゃんにもなかなか会えなくて……
…………
…………
あっ、あのっ、もちろんお仕事が多いことは嬉しくて、減らしてほしいわけでは、ないんですけれど……ごめんなさい、プロデューサーさん……
(うっ……しまった。別のことを言えばよかったな……)
2. Camel - The Snow Goose
ほわっ、Snow Goose……ハクガンさんですっ
イギリスのプログレッシブロックバンド、Camelが1975年に出したアルバムだ。同名の小説にインスパイアされて作られた一枚で、アルバム一枚がひとつの物語になっているよ
歌が入っていなくて、でも、オーケストラが入っていたりして、なんだかクラシックにも似てるみたい……
とってもきれいです……っ
それじゃあ、同じプログレッシブロックにもう一枚挑戦してみるか
はいっ
3. Emerson, Lake & Palmer - Emerson, Lake & Palmer
あっ、これって……
私の、この前の……っ
イギリスのプログレッシブロックバンド、Emerson, Lake & Palmerが1970年に出した1stアルバムだな。さっきのように一つの物語になっていたりはしないけど、どの曲も粒ぞろいで、熱量が感じられるよ。まさにバンドが鳥のように翔び立ったときのアルバムで、今の真乃にぴったりなんじゃないかな
えっと、それはとっても、嬉しいんですけれど……
どうした?
どこを聴けばいいか、わからなくて……っ
確かに、メロディが一曲貫いているわけでもないし、歌がない部分の方がずっと長いな……
次はもうちょっと、わかりやすく「ロック」! って感じのアルバムにしようか
お願いしますっ
(まぁ、普通に話せたかな)
4. Them Crooked Vultures - Them Crooked Vultures
ほわっ、お顔がハゲワシさんになってますっ
FOO FIGHTERSのDave Grohl、QUEEN OF THE STONE AGEのJoshua Homme、LED ZEPPELINのJohn Paul Jones……ロックが好きなら誰もが知っているようなスターたちが世代を超えて結成したのが、Them Crooked Vulturesだ。超一流同士ががっぷり四つに組み合うグルーヴに溢れた音に、思わず身体が動いてしまうよ
確かに、「ロック」って感じがします……っ
演奏してらっしゃる方は、存じ上げなかったんですけれど……思わず身体が動いてしまうというのは、わかる気がしますっ
だよなあ。特に目立つのはDaveの力強いドラミングなんだけど、その上を走るJohn Paul Jonesのベースがまた凄いよ。もはやレジェンドの立ち位置だと思うんだけど、現役バリバリどころか誰も真似できない……
……頭がハゲワシさんになったら、食べ物はどうするんでしょう……スプーンとか、使えるのかな……?
真乃?
ほわ?
5. Mogwai - The Hawk Is Howling
とってもりりしいハクトウワシさんですっ
グラスゴーのポストロックバンド、Mogwaiの2008年作だ。静寂と轟音のバランスが美しいMogwaiの中でも、特にヘビーで荒々しい一枚だよ
静かで綺麗な曲だと思ったら、だんだんすごく大きな音のギターが入ってきて……さっきのハクガンさんのアルバムとハゲワシさんのアルバム、両方思い出しちゃうみたいですっ
「もぐわい!」ってバンド名もとってもかわいくて、めぐるちゃんが喜んでくれそう……っ 今度会ったら、教えてあげようかな……っ
あ、でも……しばらくはお仕事が……
真乃! 次を聴こう、次!
6. ハイスイノナサ - 動物の身体
ほわっ、きれいなフクロウさんですっ
日本のポストロックバンド、ハイスイノナサの2012年作。変拍子と空間を活かした音が特徴的な、構築的で美しい楽曲が並ぶスマートな一枚だ。特に「地下鉄の動態」は街を駆け抜ける地下鉄を思わせるような、雑然、かつ整然とした広がりを持った楽曲だと思うよ
ギターがぐわーって鳴ったり、ボーカルが叫んだりしなくて、むしろ音の隙間のほうが目立つみたいで……不思議な気持ちになります……っ これも、ロックなんですか?
うん、そう思うよ……俺は……
どうして、歯切れが悪いんでしょう……?
言われたんだよな……「今どきジャンルがどうこうって、おじさんっぽくてやばいですよ!」って……
ほわ……
「いつまで残響の話してるんですか」「ロキノン系? それって何語ですか?」「プロデューサーさんが最近キテると思ってるバンド、全部一番売れてたの5年前とかなんですけど」「どうせ、この間灯織さんと行ったフェスでも、『あのバンド、昔はかなり良いシティポップをやってたんだけど、今はな~』とか言ってたんでしょ? 音楽性を変えて成功してるんだから素直に応援しましょうよ、オーサムシ
プロデューサーさん! 次、次行きましょう!
7. OOIOO - Feather Float
きれいな羽ですね……っ
BOREDOMSのヨシミが結成したバンドの1999年作だ。ミニマルなフレーズの反復とともに盛り上がっていく楽曲はダンサブルで、熱狂的で、ハッピー。特に一曲目「Be sure to loop」なんかはクラウトロック的でもあるな
緊張感はありますけれど、なんだか楽しくなってきますっ
Steve Reichさんが、お祭りに来たみたいです……っ
あ、ああ……そうなんだな!
(ライヒって……結構いかついの聴くんだな、真乃……)
8. スカート - 20/20
ほわっ、とってもかわいいカモメさんですっ
澤部渡によるソロプロジェクト・スカートが2017年に出したアルバムだ。優しくて柔らか、でもどこか切ないサウンドが魅力的な一枚だよ。くたびれてはいるけれど、駆け出さずにはいられない……そんな気持ちになる気がするな
優しい感じがします。身構えないで、リラックスして聴いてもいいよ、って言ってくれてるみたいで……
スカートは最近、PUNPEEと一緒に出した曲でもヒットしていたから、耳にする機会も多かったかもしれない
PUNPEEといえば、楽曲中での一人称に「P」を使うのが面白いよな
Pちゃんって俺のこと? なんて……
9. Elis Regina - Elis Regina In London
ほわわっ、ハトさんがこんなにいっぱい……っ
ブラジルの歌手、Elis Reginaが1969年に出したライブ音源だ。ボサノヴァではあるが、喫茶店のBGMなんかとは一線を画した、その疾走感と熱量はもはやロック!……なんて、ちょっと無理があったかな
でも本当に、すごいスピード感……なのにメリハリもしっとり感も失われていなくて、すごいですっ
何よりも真乃には、このジャケットを見てほしくてさ
ほわっ?
初めて会ったころの真乃、こういう感じだっただろ?
そ、そうでしたっけ……なんだか、とっても恥ずかしいような……
最近は、公園でゆっくりする暇もなかったけどさ
来月からは、スケジュールも落ち着いてくると思うんだ
そうしたらまた、イルミネーションスターズの新曲の話もしたい
!
また、みんなで歌えるときが来るよ。そうしたら、真乃がいろんな曲を聴いて学んだことも役立つと思うんだ
だから、その時まで……もう少しだけ頑張ろう、真乃
……はいっ、プロデューサーさんっ!
True End: ソラトブサカナ
プロデューサーさん。「ロック」というのは、今日聴かせていただいたような音楽なんですよね?
え? あっ、あー…………
プロデューサーさんが、ロックの中でも聴きやすいものを選んでくださったんですもんね
特にポストロック? っていうのが多かったような気がしますっ
それでは……
櫻木真乃、ポストロックアイドル! がんばります、むんっ!
真乃、落ち着こう
それについては、もうちょっと話し合おう。な?
では私、ハイスイノナサの照井さんのところにお話を聴きに行ってきます!
待てっ、真乃、それは、あーっ……
…………
楽曲提供、してくれないかな……