ワー

2022年良かったアルバム10選

順不同です。

1. Yard Act『The Overload』

youtu.be 年始に登場した傑作。サウスロンドンのポストパンクシーンの流れに連なりながらも、彼らの特徴はとにかく前のめりなこと。ポストパンクの纏う陰鬱さを振り切るようなビートと畳み掛けるような歌唱に圧倒された一枚。

2. Zeal & Ardor『Zeal & Ardor』

zealandardor.bandcamp.com ブラストビートと歪みきったギター、確かにメタルサウンドではあるものの、全体に息づくのはむしろアフロビートあたりを思わせるようなトライバルな律動。その邪悪な奔流をスッキリと聴かせる分離の良さも光る。あざといほどにキメる「Death to the Holy」が好き。

3. 大石晴子『脈光』

youtu.be どこか心に引っ掛かる歌詞選びもさることながら、独特のアーティキュレーションが魅力的な一枚。息の置き方やグリッサンドで絶妙に体制を崩されるというか、内側に入ってこられてしまうような雰囲気がある。ロバート・グラスパー的なサックスとディストーションギターが沁みる「季節を渡れ」が一番好き。

ただ好きというだけで二人はまた
微笑んだりする

4. OMSB『ALONE』

youtu.be 今年一番聴いた一枚。タイトル通りゲスト参加もなく、内省に終始するアルバムながら、同時に根底にあるのは対話だということも強く感じる。それは言葉を発する以上当たり前のことなのかもしれないけど、自分なり他人なりの相手がいて、相手に向かって自分の思うことを話す、というプリミティブな営為になんだか感動してしまう。
現在と回想をrewindしつつ包括の実感に至る「大衆」は文句無しに傑作。

俺がこのサンプルをいじってループした時
きっと俺にずっとついて回る曲だと確信した

5. ゆうらん船『MY REVOLUTION

youtu.be フォーク寄りだった前作から一転、打ち込みやオートチューンも入るダンス色が強い一枚に……と説明されるのだが、ダンスミュージック的な無機質さはなく、終始輪郭がぼやけるような温かみと苦しみに満ちている。

頭も身体も心までも
全然平気さ 僕らのものだよ

6. black midi『Hellfire』

youtu.be 1stではポストパンクシーンの代表選手として捉えられたblack midiだが、混沌と再構築を推し進めた結果完全に独自の領域に突っ込んでしまっている。パワフルなドラミングと絶叫、怒涛のプログレ展開に不意の歌心を覗かせる構成はThe Mars Voltaを思わせるところもあるけれど、時折垣間見えるチェンバーの諧謔とポストパンク的なビートの強さは独特。「Eat Men Eat」が一番好き。

7. Harry Styles『Harry's House』

youtu.be タイトル通り内省的なアルバムながら、揺るぎないポップネスとディスコの輝かしさが絶妙な一枚。もう戻らない痛みと悼みをキャッチーすぎるくらいキャッチーに歌う「As It Was」が象徴的。

8. サニーデイ・サービス『DOKI DOKI』

youtu.be 再生ボタンを押して一音目から掴まれてしまう。「青い海のような悲しみに ああ、何が言えるだろう?」「あなたのそばに行き歌を歌ってあげたいな」という思いを赤い風船に託す、そういう痛切さと原点回帰的なバンドサウンドの喜びが綯い交ぜになったような一枚。

9. スカート『SONGS』

youtu.be 13曲38分、短い曲では1分台。スカートの「うた」を濃密に感じられる一枚。タイアップ曲が多いようだがアルバムとしてのまとまりは十分感じられ、行き止まりからのかすかな希望を感じられる構成が感動的。スカートの歌を聴くと胸を締め付けられるような懐かしさと夕暮れの香りを感じることが多いのだけど、今作もやはりそうで、特に「標識の影・鉄塔の影」が一番のお気に入り。

10. betcover!!『卵』

youtu.be 12/21に出たばかりのアルバムでまだ聴き込めてはいないけれど、これを入れなきゃ流石に嘘なので。
スタジオ一発撮りだという今作では、前作以上にプログレッシブロックジャズロックに接近しており、刻一刻と表情を変える緊張感と憂いに満ちた歌唱が絶妙なバランスで同居している。特にKing Crimsonもかくやと思わせるほどの哀愁ボーカルによるビルドアップが炸裂する「超人」は聴き応え抜群。文句無しに彼らの最高傑作だと思う。

【番外編】
EPは選外としたが、今年はいいEPも多かった。

  • どんぐりず『4EP3』

  • Nagakumo『EXPO - EP』

  • PUNPEE『焦年時代 - EP』

あたりが気に入っている。