2025年に買ってよかったもの10選
- がまかつ うろこ取り
- ランガンバッグ
- Jackson ポッシュ
- Corne V4 Cherry
- 象印のタンブラー
- 長谷川あかり『つくりたくなる日々レシピ』
- 使い捨てデンタルフロス
- ニューバランス 1906R
- TIGHTBOOTHのカーゴパンツ
- グンゼのin.T
がまかつ うろこ取り
これはマジですごい。うろこ取りの世界が変わった。うろこ取りの世界が生活に存在している人はぜひ。
うろこが全く飛び散らないし、ガッシリついたうろこもすっと剥がれる。円形なので細かい部分もらくらく。
もはやこれ以外のうろこ取りを使うことが想像できない。「100均でよくね?」と思っている人にこそ試してみてほしい。
ランガンバッグ
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今年はちゃんと渓流テンカラをやってみようと思い、色々と道具を購入した。中でもこのランガンバッグは他の釣りにも使えるし、かなり便利。ルアー用ではあるけど、餌を使う船釣りなんかもこれ一つで行ける。天秤やらビシをレンタルすることが前提だけど。
かなり収納力があるのはもちろん、開けるときに手間取らない大型ジッパーループがいい感じ。ポケットの構造もわかりやすく、どこに何があるか覚えやすいのも嬉しい。撥水仕様なのもありがたいところ。
アブガルシアと迷った結果、ロッドホルダーの細さが調節できるのがいいかと思ってこちらを選んだのだけど、そこの使い勝手はイマイチだった。テンカラロッドはどう頑張っても(リールで止まらないので)落ちる。本来想定されている対象じゃないのでしょうがないね。
Jackson ポッシュ
ダメになった仕掛け。汚くなったウェットティッシュ。結んだラインの切れ端。とにかく釣り中はちょっとしたゴミが多い。こういうものを適当なビニール袋に突っ込んでもいいけど、針はビニール程度簡単に突き破ってしまうし、ラインの切れ端なんかはいつの間にか結んだ袋の端から漏れてしまったりもする。
そういうなんとなく取り扱いに困る小ゴミを入れておくのがこのポッシュ。レシートとかお手拭きとかとにかくちょっとしたゴミを突っ込めるのが便利なので、釣りをしない人にもオススメ。
Corne V4 Cherry
Corne V4 Cherryshop.yushakobo.jp
分割キーボード。ずっと気になっていたけどふと奮起して買った。
こういうキーボードは大概はんだ付けから自分でやらなくてはいけないのだけど、このモデルははんだ付け不要。キースイッチは互換性のあるものなら何でも付け替えられるし、もちろんキーキャップも自由。想像よりもサクッと組み立てられてしまった。
キーが46個しかないので最初は面食らうが、慣れると「ホームポジションから一切腕を動かさなくていい快楽」の大きさに気付く。普通のキーボードで数字を入力するとき「なんか遠いな……」と思ってしまう。入力速度が早くなったとかミスが減ったとかそういうことは特にないし、何なら未だに「この記号どこに配置したっけ」と慌てたりするけど、確実に入力が気持ちよくはなっている。自分で選んだキースイッチもいい感じだし。愛着の湧く一品だった。
象印のタンブラー
元々寒がりだったのだけど、年々寒がりレベルが上がっている気がする。もう冬物のアウターはダウンジャケット以外着られない身体になってしまった。外はダウンジャケットでカバーできるとして、問題なのは内の方。マグカップに入れた飲み物はすぐに冷めてしまうし、冷たい飲み物を飲むと身体が冷える。
ということで断熱効果が高いタンブラーを購入した。アツアツの状態で飲み物を入れようものなら数時間は飲めないほど保温性能が高く、いつでも温かい飲み物が飲めるというのは思ったよりもありがたい。特に釣りのときなんかは。前は◯ーモスのタンブラーを使っていたけど、それに比べても保温性能が段違いだった。
長谷川あかり『つくりたくなる日々レシピ』
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買ったのは2023年だけど今年めちゃくちゃ使ったので今年のベストバイにカウント。
今年は長谷川あかり師匠の年だった。SNSではレシピを上げるたびにバズり、そのどれもがしみじみとおいしい。このレシピ本にはそうしたレシピがまとめられているのだけど、単純な素材・単純な調味料で想像を越えたおいしさを体験させてくれるところに作る度驚いてしまった。ついには勝手に師匠と呼ぶ始末。
SNSにレシピが上がりまくっているので本を買わなくてもいいっちゃいいのだけど、SNSに上がったものを探したり総覧するのはかなり手間なので、レシピ本を買ってしまったほうがずっと楽だと思う。ホントは記憶やメモだけで作れるのが一番いいんだろうけど。
使い捨てデンタルフロス
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今年も「去年虫歯治したし今年は大丈夫やろ」と歯科検診に行って虫歯と歯石に愕然とするやつをやった。
今年できた新しい歯医者さんは、毎回歯の写真を撮ってくれる。そこで初めて、いかに自分の歯がえらいことになっているか知り、愕然。齲歯って本当に歯がグズグズになるんですね。これはもう根本的に歯磨きに対する意識を変えないといけない、と思い歯医者さんに聞いたところ、まずはフロスを使えとのこと。ジェットウォッシャーとかじゃなくて糸のフロスがいいらしい。
とはいえ、糸を出すだけのフロスは面倒すぎて続かなかったので、とりあえず使い捨てのものを……と思って買い始めたら存外続いている。去年は歯石で埋まっていた歯の隙間もまだ存在する。来年は愕然としないといいな。次の検診は2月予定です。
ニューバランス 1906R
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これまで逆張り精神もありニューバランスを避けasicsを主に履いていたのだけど、遂にasicsが流行る気配を見せはじめたので「そろそろいいか……」と思いニューバランスを購入。ギラギラしたレトロフューチャーっぽいやつが欲しかったので1906Rにした。ニューバランスのロゴのN字の縦棒部分が紐になっていて締まるという、全く意味がなさそうなギミックが好き。N Lockというらしい。
デザインもいいが、何よりよかったのはその歩き心地。店員さんの勧めでインソールを別で買ったのだけど、これのおかげか不思議と歩いても疲れない。ベストバイはインソールかも。
TIGHTBOOTHのカーゴパンツ
古着で買ったのでリンクは似てるやつ。本当に一年中履いていた。楽だし強いしポケットが多い。S/Sシーズンの服だけどヒートテックタイツ履いて冬でも履いてます。
グンゼのin.T
Tシャツ一枚で外に出るとお腹を壊すという怪現象に数年悩まされていたのだけど、下着を着ればお腹が冷えないことに気がついた(人間何年目?)。とはいえ、何も考えずにデカい服ばかり買うので、下着の選択はなかなか難しい。服によってはエアリズムですら襟から見えてしまう。でもタンクトップはなんか脇だけスースーしてヤダ。ということで色々探していたところ、これがちょうど脇までサポートしてくれ、かつ襟からはみ出さない広さで大変よかった。インナーってあったほうがいいらしいです。
個人的にオススメのジャズ曲
大前提として、ジャズを聴く時に一番大事なことは「気が狂うくらい音量を大きくする」これに尽きると思います。
居酒屋とかで聴くジャズが全く印象に残らないのは音量が小さいからで、ちゃんと音量を上げて聴けばめちゃくちゃアツいので……
Kamasi Washington「Re Run」
今期アニメ「LAZARUS」のOPを務めたことでも話題になったサックス奏者。ロサンゼルスを中心としたシーン、いわゆるLAジャズの代表選手の一人。デカい。
なんといってもカマシはソロがアツい! 短い同音を連打しつつ徐々にボルテージを上げていきわかりやすく爆発する感じは、HIPHOPのバースにも通じる気がする。To Pimp a ButterflyやDAMNにも参加しているので、HIPHOPとの縁も深い。アルバムもいいけど、せっかく現代の人なので熱が伝わるライブ映像がオススメ。
Thundercat「Captain Stupido」
カマシと同じレーベル、同じくLAの代表的なベーシスト。この人もKendrick Lamarの作品に参加している。
ま~しょうもない曲ばかり作るんだけど、ベースのテクさは常に光り続けている変な人。特にこの曲はダントツでしょうもないし、ボーカルとユニゾンになるベースが気持ちよくて好きな曲。ジャケットも変でいい。
Nubiyan Twist「Tittle Tattle」
今度はロンドン、UKジャズから。アフリカ音楽であるアフロビートやら、ラテンのパーカッションやら、クラブミュージックやら、様々なジャンルからの影響を受けているのが特徴。現代においてジャズは基本的に自由(画像略)。
とにかく身体が動かされるこの曲が一番好き。ジャングルの熱気!
Tom Misch & Yussef Dayes「What Kinda Music」
イギリスのミュージシャン・Tom Mischが、UKジャズの代表的なドラマー・Yussef Dayesと組んで出したアルバム。布陣は完全にジャズなのだけど、タイトル通り「これジャズか?」という感じではある……でも、現代においてジャズは基本的に自由なので。
Yussef Dayesの軽やかながら自然と前のめりになるドラムが大好き。このアルバムでは特に同じフレーズをループする場面が多く、ヒップホップの影響を感じるところもある。
Art Blakey「Split Kick」
打って変わって1954年収録のハードバップ。アルバムではこの前に司会者による紹介まで入っていたりして、現場の熱気がパッケージングされたアツい演奏。べらぼうに早くてスリリングなのが好みです。
Keith Jarret「My Back Pages」
Keith Jarretの初期作。ジャズを聴きはじめた当初、「全然どこを聴けばいいのかわからん、メロディなくない?」「特にベースソロって何これ? 何の時間?」と思っていたころに聴いて衝撃を受けた一曲。
叙情的でキラキラしたピアノが良いのはもちろん、よくあるウォーキングベースではなく訥々と語るようなポール・モチアンのベースソロが好きな演奏。原曲がボブ・ディランだけあってメロディもわかりやすい。
福居良「Early Summer」
時期的にも…… 夏の情緒たっぷりの始まりから、中盤になると猛烈にドライブ!
早い中にも瑞々しさを失わないピアノがいい。パキッと赤いジャケットもカッコいい。
Keith Jarret「I Loves You, Porgy」
まさかのKeith Jarret2曲目。Keith Jarretが好きすぎるので……
あまりに情感的なピアノソロ。独白のようなタメと抑揚が絶妙すぎて普通に泣いてしまう。演奏中にテンションが上がると奇声を発することで悪名高い人なんですが、この曲ではさすがに奇声がないのもオススメポイント。
チョコケーキ食べ食べ委員会

食べ食べ委員会~
いえ~い!
は?
とにかくいろんなチョコレートケーキを食べようということでぇ
今回はチョコケーキ専門家の園田智代子さんをお招きしましたぁ
チョコアイドルとして、チョコレートケーキが大好きなお二人にも満足していただけるよう、幅広いセレクトを心がけたつもりですので!
何卒、よろしくお願いいたします!
まぁす
ちょっと待って
何ー?
私、別にチョコケーキが大好きなんて言ってない


でも、まーちゃんはぁ?
— シャニソン公式【好評配信中!】 (@imassc_prism) 2025年5月7日
は?
何これ?
じゃあ、スタートぉ
ファミリーマート 濃厚ショコラロール
最初のチョコケーキはこちら! コンビニスイーツっていいよね、買うタイミングを選ばないし、それでいて美味しいし!
強豪ひしめくコンビニチョコケーキの中でも、私のオススメはこの「濃厚ショコラロール」! 看板に偽りなし、濃厚なチョコ感が味わえます!
ふーん……あ、おいしー。
まーちゃんはどう思うー?
帰る。
ごめんってばー。
それはそれとして、美味。
確かに濃厚だけど、後味は意外とさっぱりしてるかもー。嫌な脂っぽさがないっていうかぁ。
冷やしたとき、外がパリパリなのも楽しい。アーモンド、キャラメリゼされてる? カリッとした食感を保ってるし、凝ってる感じ。
コンビニスイーツは日進月歩、たまに食べるとその進化具合にビックリしちゃうよね……!
ファミマ、やるー。
ダースミルク チョコレートケーキ
お次はこちら! 不肖私がアンバサダーを務めさせていただきました、DARSを使用したチョコレートケーキです!
ドンキホーテ限定販売なので、買えた人はラッキーかも……?
森永製菓さん、その節はお世話になりました。
おかげさまで生きておりますー。
ふーん……ブラウニーっぽい生地? チョコ◯イみたいなスポンジだと思ってたけど、全然違う。
クリームまでチョコ風味だし、全部チョコって感じ。うまぁ。
ドッシリ感もあるし、おやつにあると嬉しい感じだよね。
森永製菓さん、今後ともよろしくお願いしますー。
送ってもらおうとしてる……?
ブノワニアン タルト・オ・ショコラ
今度はチョコレート専門店、ブノワニアンから! 専門店ならではの、力強いカカオの味わいが楽しめるタルトです!
ブノ……?
ブォ……
ゴーホーム。
なんか、複雑な味がするー。甘い中になめらかな苦みがあって、ちょっとスパイスみたいな香りもする、みたいなぁ。
カカオってこんなに風味豊かなんだ!?ってなるよね……!
まーちゃん、食べた?
浅倉、明日の課題プリント捨てとくから。
まあまあ、これでも食べてー。
……凄い。確かに、風味の情報量がこれまでと全然違う。果実っぽい酸味とか、コーヒーっぽいコクも感じるような。他のカカオはまた違う風味があるんだとしたら、興味が湧いてきたかも。
うーん……グー。
世界一食レポに向いてないアイドル。
hal okada キャラメルオレンジショコラ
最後はこちら! かわいらしい見た目となめらかな食感、オレンジの華やかさ……その上素材は100%植物性!
うまぁ。オレンジとチョコって無敵のコンビだよねー。
植物性の素材って聞くと、「クセがあるのかな?」とか「コクがなかったりする?」とか思っちゃうかもしれないけど、これは全然そんなことないんだよね!
確かに~。
まーちゃんはどう思うー?
僕がヴィーガンだってことは、驚くに値しないだろう……だって、君たちが知っているかはわからないけど、あんな曲を演っているくらいなんだから(The Smith「Meat Is Murder」)。ともかく、僕がヴィーガンになってから何年も経つわけだけどさ。最初に困ったことは、デザートが食べられないことだったんだよ。乳製品が使えないわけだからね。この問題は何年も続いた。最近はヴィーガンクッキーなんかも食べているけど、クリーンに、美味しく食べられるものが増えるに越したことはないよね。だからこのケーキは最高だし、こういう店が増えてくれることは、本当にうれしく思うよ。
なるほど。
おわりに
いろいろ食べてきたけど、どうだったぁ?
思ったより幅があった。チョコケーキ、と一口に言ってもロールケーキ、ブラウニー、タルト……全然違うよね。その違いを直接体験できたことは、今後のキャリアに重要な意味を持つんじゃないかな。
円香ちゃんまで海外アーティストみたいな喋り方になってるよ!?
ともかく、感想を聞きたいのはあなたの方。どうだった?
え、全部美味しかったケド……なんで?
なんと、今回の企画……実は摩美々ちゃんへの誕生日プレゼントでもあるのでした!
ハッピーバースデー。

ハッピーバースデー。
えー、急に言われても、困るんですケドぉ……
みんな私のことを考えてくれてたのに、あんな始まり方で……
まーちゃん、ごめんねぇ。
それはやめて。
それでは、二次会は摩美々ちゃんの誕生日パーティということで!
代金はプロデューサー持ちということで。
ははっ、おう! 摩美々の誕生日は、何回だって祝いたいからな。
では、こちらが今回の領収書になります!
ありがとう、目を通しておくよ。
では、私達はこれで。
おう、楽しんできてくれ!
……ん?
ジョニー・マー様出演費、120万円……?
2024年良かったアルバム10選
順不同です。
- 綿菓子かんろ / リサージュの風景
- METZ / Up On Gravity Hill
- Dolphin Hyperspace / What Is My Porpoise?
- OGRE YOU ASSHOLE / 人間とコンピューター
- 折坂悠太 / 呪文
- トリプルファイヤー / EXTRA
- リーガルリリー / kirin
- a flood of circle / WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース
- Kendrick Lamar / GNX
- Cassandra Jenkins / My Light, My Destroyer
綿菓子かんろ / リサージュの風景
VTuber綿菓子かんろの1stアルバム。どこか落ち着くようなサイン波の音源と、息が多いのに芯のある歌声の馴染みがすばらしい一枚です。2月リリースということもあり、年内最も聞き返したアルバムはこれなんじゃなかろうか。アルバムとしての構成もいいので、一曲聴き始めたら結局最後まで聴いてしまうこともしばしば。特にリフの良い「恒星」と、「邂逅」→「連奏」の流れはよく聴きました。
METZ / Up On Gravity Hill
前作から4年ぶりとなる5thアルバム。不安感と浮遊感を同時に与えるような轟音が持ち味のバンドですが、今作ではその轟音がより空間的になり、美しさや心地よさをより強く感じるようになった印象です。一曲目でグロッケン(たぶん)がきらびやかに鳴り響くに至っては、満点の星空が想起されるほど。新境地を開く、文字通りの快作となりました。
とにかく音がでかければでかいほどいいアルバムなので、ぜひライブで聴きたいところ。また来日してくれないかな~。
Dolphin Hyperspace / What Is My Porpoise?
dolphinhyperspace.bandcamp.com
LAのエレクトロジャズデュオ。Louis Coleが参加していることや、朴訥なイルカのジャケットの印象もあってか、リリース当時はツイッターでも話題をちょくちょく見たような。どこかゲームのBGM的な聴きやすさとポップさを常に保ちつつ、各楽器のフレーズが聴けば聴くほど妙な形で絡み合うのが楽しい一枚です。
一曲目「Walk on Music」のタイトル通り、腰を据えて聴くというよりは外で歩きながら聴いたりすることの方が多かったように思います。そういう聴き方を許してくれる雰囲気があるところも気に入ってます。
OGRE YOU ASSHOLE / 人間とコンピューター
以前『Homely』でリズムの反復による居心地の良さを表現したOYAですが、今作に横たわっているのはそれとは真逆のUnhomelyな――独語で言うところのUnheimlichな空気、自分のよく知っているはずの環境が実は全く馴染みのないものだった、という薄気味悪さです。急き立てるように鳴り続けるシンセや、虚空へ語りかけ続けるような抑揚に欠けたボーカルは、どこまでも不安を煽ってきますが、一方でドラムはあくまで生の力強さを湛えていて、聴き手の身体を揺さぶってくる。この分裂が今のOYAの無二の魅力で、アルバムのコンセプトにもうまくハマっているように思えます。
ライブで大化けする、というかライブではもはやほぼ別の曲になるバンドなので、観たことのない人には是非行ってみてほしいです。僕も今年は全然予定が合わなかったので、来年はぜひライブで新曲を聴きたい……
折坂悠太 / 呪文
前作ではSam Gendelやイ・ランなど親交の深いアーティストも呼び、バンドアンサンブルを追求した折坂悠太。しかし、今作はより個人的な、日々の生活とそこに根ざした思考の色が強く出たアルバムになりました。日々の情景を切り取った曲群はしかし、「正気」「無言」で日常を脅かすものの影を見せ、そしてMarvin Gaye「What's Going on」風の開放感と強い祈りに満ちた「ハチス」へと繋がっていく。生活感のあるジャケットも併せて、「個」であることの潔さを感じるこのアルバムは、怒りと同調が渦を巻いた2024年をある意味で総括しているようにも思えます。
トリプルファイヤー / EXTRA
7年ぶり(7年ぶり!?)のアルバム。前々からライブでは「アルバム2作分くらいの曲はできている」と言っており、そしてようやく出たアルバムはだいたいライブで聴いたことがある曲でした。次作はもっと早く出してくれ!!
高いプライドとままならない現実と欲望の間で引き裂かれたような歌詞は相変わらずで、あまりの情けなさにヘラヘラ笑いつつも「これアタシだ。。。」と真剣に思ってしまうような独特の感覚があります。それが今のSNSを取り巻く空間を想起させるところもあるのですが、トリプルファイヤーの鋭さに感心するというよりはむしろ「世間のトリプルファイヤー化」になんだか悲しくなるような……
今作のハイライトはなんといっても「相席屋に行きたい」。あまりにもクールであまりにもしょうもない疾走アフロビートナンバーです。
リーガルリリー / kirin
1stを聴いてピンと来ず、それ以来聴いていなかったバンドなのですが、今年この3rdアルバムを聴いたところ予想以上にドハマりしました。「天きりん」のポップさと切実さに掴まれ、キラーチューン「キラキラの灰」で完全にノックアウト。この2曲だけで年間ベスト10入りが確定しました。
ギター・ベースそれぞれのフレーズの良さを活かしたイントロから、ど真ん中ストレートで盛り上げる歌メロになだれ込む潔さが好みです。「リッケンバッカー」で有名になったバンドで、今回ちゃんと聴くまでは「リッケンバッカーを弾いているのかな」と思っていたのですが、このバンドのギターサウンドはテレキャスター以外あり得ないという轟音とジャキジャキ感で、その弾きっぷりもかなり良い。
a flood of circle / WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース
a flood of circleも今年聴き始めたバンドのひとつです。正直アルバムとしては前作『花降る空に不滅の歌を』の方が好きなのですが、今作はリアルタイムにリリースを経験できたということもあり、繰り返し聴きました。等身大の自意識や、その自意識すらもメタに見てしまう自意識でがんじがらめになる様子が克明に描かれていき、中盤の「DEKOTORA」ではついに「歌詞が書けない」というリアルタイムの苦しみが綴られるに至ります。しかしそこから取るべき姿勢を取り戻し、あまりにもキラーチューン然としたキラーチューン「ファスター」になだれ込む、その流れがめちゃくちゃカッコいい。
Kendrick Lamar / GNX
ここ数年はHIPHOPの年が続いていますが、今年は特に大きなニュースが相次ぎました。KendrickとDrakeのビーフ、「Not Like Us」の大流行はもちろん、JPEGMAFIA、Denzel Curry、Tyler, The Creatorといった錚々たる面子が新譜をリリース。そしてこの年を締めくくるように11月末突然ドロップされたのが、Kendrick Lamarの『GNX』です。
今作は強烈なメッセージも、息を呑むようなコンセプトもなく、代わりにビーフの延長線上にある毒や、西海岸の若手をフックアップする姿勢が目立ちます。今までにないほど肩の力が抜けたアルバムなのですが、だからこそ、シンプルな西海岸ビートとKendrickのラップの良さが響くような気がしています。特に「squabble up」と「tv off」はかなりのヘビロテ。『Mr. Morale』とは違う形で、K Dotが王であることを示した一枚だと思います。
Cassandra Jenkins / My Light, My Destroyer
ニューヨークのSSWの新作。インプロ的な管楽器やストリングスによる広がりが沁みる前作も年間ベスト級だったのですが(2021年って年間ベスト書いてなかったんだ……)、宇宙をテーマとし、80年代的なエフェクト使いが実際宇宙的な空間を感じさせる今作も素晴らしい。飛び道具を使わないインディーロック的なナンバーも多く、成熟と哀愁を感じる歌声に余計グッと来てしまいます。特に「Clams Casino」は名曲。「I don't wanna laugh alone anymore」のリフレインが胸に迫るようです。
2024年に買ってよかったもの10選
- 貝印のピーラー
- ウー・ウェン『炒めもの』
- 石濱匡雄・ユザーン『ベンガル料理はおいしい』
- Pixel Buds Pro
- DAIWA ライトゲームX 73 MH-190
- converse CT70
- YONEX パワークッションカスケードアクセル
- RACAL スケートロールニットキャップ
- DAIWA PIER 39 TECH DRAWSTRING S/S TEE
- ポスター
貝印のピーラー
ピーラーのことを正直舐めていた。別に100均でも皮は剥けるし、なんなら薬味おろしまでついててお得じゃん、みたいに思っていた。
そんな状態で、ふと900円ほどのピーラーを買ってみて驚いた。気持ちよさが全然違う!! 本当に撫でるだけで剥ける。切れ味が良すぎて怖いくらいだ。意味もなく何かの皮を剥きたくなる。フルーツだって買っちゃうようになった。皮を剥きたいので。
刃が斜めになっているのも、食材に当てやすくていい感じ。やっぱ調理道具はそこそこ金を出すべきなんだなあ。
ウー・ウェン『炒めもの』
https://amzn.asia/d/0vMYSWmamzn.asia
みなさん、炒めものとはなんだと思いますか? 油を使って食材をかき混ぜながら焼く調理法? 違うんですねえ……
ウー・ウェン先生はこのように説明しています。
私は、炒めものの作り方を説明するとき、「炒めものは”加熱できるボウル”で和えて調味するイメージ」という言い方をしています。
その説明通り、この本では基本的に下準備に力が入っていて、炒める工程は本当に最後の仕上げ程度。
それだけで、いつもの食材と調味料がこんなに旨くなるのか!と感動するほどの料理ができてしまう。ヒットも納得の一冊。
石濱匡雄・ユザーン『ベンガル料理はおいしい』
https://amzn.asia/d/8XTokXEamzn.asia
ベンガル料理のレシピ本。ユザーンの名前に惹かれて購入したが、本当にうまいしかなり簡単(スパイスとマスタードオイルさえ入手できれば)。
特にシュクトとショルシェ・マーチ、しらすの椀チョッチョリがお気に入り。全然似たものがない味で、世の中にこんなうまさがあったのか!と衝撃を受けた。
ただ、あまりにマイナーすぎて日本にある飲食店で正解を確認できないのがつらいところ。シュクトを出す店を見つけたら教えて下さい。
Pixel Buds Pro
スマホをPixel 8aに新調したら一万円分のクーポンがついてきたので、ついでにバッテリーがへたっていたワイヤレスイヤホンも新調。
低音がしっかり出てノイキャンが強いので、個人的に欲しいワイヤレスイヤホンの要件を満たしている。あとジェスチャで音量調節できるのも結構うれしい。Geminiとかは全然使わないので知らない。
「外で聴く音楽なんて低音出てればそれでいいよ~」なんて思ってたけど、結構気に入ってます。
DAIWA ライトゲームX 73 MH-190
船釣りはこれまで船宿の貸竿でやってきたし、ライトゲームXの対象魚種ならぶっちゃけそれで十分なんだけど、やっぱり自分の竿があるというのは気分がいい。
MHでもめちゃくちゃ柔らかいので「これ本当に大丈夫か?」と思ってしまうけど、50cmくらいのマゴチは難なく上げられた。竿がものすごい勢いで曲がったのを見た仲乗りさんがタモを持って飛んできてくれたけど、上がったサイズを見て「なんだ、竿が柔らかいだけか……」と呟いたのは悲しかった。そうです。竿が柔らかいだけです。
converse CT70
中国旅行に行った友達に密輸入してもらった一足。商標の関係で日本では正規品が販売されていない。
ステッチがさァ!三つ星のヒールパッチがさァ!というスニーカーオタク3日目みたいな憧れ駆動で買ってきてもらったけど、クリーム色のソールが高級感あっていい感じ。底もオールスターより分厚くて歩きやすい。
ローテクで合わせやすいスニーカーが一足あるとかなり嬉しいな~ということを実感できました。
YONEX パワークッションカスケードアクセル
新調したバドミントンシューズ。土踏まず~かかと辺りが若干高くなっていて、踏み出しのスピードが上がる感じがある。
赤と黒の悪役っぽいカラーリングもいい感じ。ヨネックスは白・青・緑のイメージがあるので赤黒は2Pカラー感がある(そうか?)。
自分に合ったバドミントンシューズを使うことの重要性を知った。この記事を読んでいる人でバドミントンをやる人が存在するのかはわからないけれど……
RACAL スケートロールニットキャップ
2週間~3週間くらいで髪が伸びるのだけど、その頻度で床屋に行くのはダルい。ので、毎月帽子を被って耐えている。
でも毎日キャップというのも飽きる。ということで、浅めのビーニーを買ってみたらこれがかなりいい感じ。
以前買ったNOAHの深いビーニーはすぐに被らなくなったが、これはかなりの頻度で使えて嬉しい。
浅いし素材がコットンベースなので、季節を選ばないのも良い。Tシャツでもパーカーでもこれだけでなんかそれっぽくなる。
DAIWA PIER 39 TECH DRAWSTRING S/S TEE
TECH DRAWSTRING S/S TEEdaiwapier39.jp
白Tに何千円も出す人の気持ちが理解できなかった。だって白一色じゃん。すぐ汚れるだろうし、デザインも何もほぼないし。ヘインズでいいよヘインズで。
でもこれはひと目見た瞬間に「オッ……」と思ってしまった。ドローコードでシルエットが変えられるし、生地もハリがあってなんとなく一張羅感がある。
ミーハーだけど、この値段でダイワピアを買えるのも割と嬉しい。一応釣具メーカーの服ということで、スケートをやらないのにスケーターブランドの服を着ているよりよっぽど胸を張れる。
今後もこれを着て「ブランドのストーリーに共感してェ!」と絶叫していこうと思います。釣りのときにダイワピア着てるやつなんて一度も見たことないけどな。
ポスター
㊗️新刊告知㊗️
— 花初そたい (@hanasome_sotai) 2024年11月11日
SSF08 にて頒布予定の新刊「About A Idol Unit」に登場する #ストレイライト が、NO IDOLS, NO LIFE?に登場!
SSF 当日は エ-19 の Cow, Etc. を要チェック👀✨#SSF08 pic.twitter.com/dkmBETQBUV
あの日のロックンロールの引力は万能で
裸足のままで走り出していたんだ
不敵なメッセージを受け取って笑って騒いで
強く生きてゆくイメージを握りしめた
About a Rock'n'Roll
About a Rock'n'Roll Band
2023年良かったアルバム10選
順不同です。
- 1. カネコアヤノ / タオルケットは穏やかな
- 2. boygenius / the record
- 3. GEZAN & Million Wish Collective / あのち
- 4. People In The Box / Camera Obscura
- 5. スピッツ / ひみつスタジオ
- 6. Disclosure / Alchemy
- 7. 君島大空 / no public sounds
- 8. Sufjan Stevens / Javelin
- 9. littlegirlhiace / INTO KIVOTOS
- 10. THE NOVEMBERS / THE NOVEMBERS
1. カネコアヤノ / タオルケットは穏やかな
一曲目の「わたしたち」から一気に掴まれた。思い切り良く響くファズギターと自在にテンションを変える歌声はここに来て絡み合い、前作よりもさらに闊達なバンドサウンドを聴かせてくれている。バンドとして大きい箱でやることをある程度意識し始めたのか、シンプルかつスケールしやすい曲が増えた印象で、そのともすれば薄く拡散しそうな変化にどこまでも個人的なカネコアヤノの歌声が説得力を与えている。とことんまでに生活に寄り添った歌詞もますます切れ味を増し、アルバムとしてはこれまでの中で最高傑作だと思う。ひとつの円熟期に入ったのではないか、と思わせる一枚。
一番好きな曲は「季節の果物」。「やさしいギター」→「季節の果物」→「眠れない」の流れが好きすぎて、ここばかり何度も聴いた気がする。
優しくいたい
海にはなりたくない
全てへ捧ぐ愛はない
あなたと季節の果物をわけあう愛から(季節の果物)
2. boygenius / the record
これも一曲目がいい。冒頭にアカペラ曲をかましてくるアルバムはだいたい好きになってしまう気がする。
ワンピースの名シーンみたいなジャケットがまずいいのだけど、この画に象徴されるように、boygeniusについてはこの3人の結束に触れずに済ませることはできない……というか、まずぼくがこの3人のライブでの佇まいやインタビューでの姿勢に食らいまくっている。アルバムを通してアンビバレントな愛だとか、性別や性指向に付随する思い込みについて歌っている3人だけど、音源以外でもそういった「言いたいことを言い、しかもカッコいい」という姿勢は変わらず、そこに他にないスター性を感じてしまう。USインディど真ん中といった音楽性ながら、3人のボーカルはそれぞれ個性が立ちつつSSWふうの歌心に満ちていて、その一点だけでこのバンドを好きになるには十分ではある。
好きな曲は「Not Strong Enough」。何度聴き直しても、ドラムが入る瞬間の「ここがこのアルバムのハイライトになるぞ」というスイッチが入る感覚と、「Always an angel, never a god」のリフレインにやられてしまう。「I am not strong enough to be your man」という内容の曲の一番盛り上がる部分がこのリフレインなのはパンチラインすぎるよなあ。
Always an angel, never a god(Not Strong Enough)
3. GEZAN & Million Wish Collective / あのち
以前から色濃く現れていた祝祭と狂騒、デモと反戦といったテーマはここにきて更に根源的ないのち……よりも更にひとつ前の「あのち」と結びつき、GEZANを新たなステージへと前進させた。コロナ禍で大勢が声を出すことが避けられていた時勢だからこそその魅力がわかった、とマヒトゥが話していたように、コーラス隊や管楽器も加わって鳴らしまくった響きは空間に作用するもの。だからこそ、このアルバムを一年通して何度も聴くほど好きになれたのは4月のライブに行けたのが大きかったような気がする。空間を埋める人々の声はそれだけでひとつのかけがえのない現象であって、それだけでメッセージ性を帯びている。
好きな曲は「萃点」。「TOKYO DUB STORY」から「萃点」への入りがめちゃくちゃ好き。
言葉に疲れたら 踊るのさ 踊るのさ(Third Summer of Love)
4. People In The Box / Camera Obscura
アコースティックと歌モノに寄り、フォーク的な暖かさが印象的だった前作から一転。Pink Floydも彷彿とさせるような無機質なイントロで幕を開けたアルバムは、「DPPLGNGR」の「別人だよ」に象徴される不意に突き放すような不気味さや、不条理感に満ちている。その緊張感がかなり好み、「ニムロッド」あたりにも通じる資本主義批判的なムードもまた好みで、初聴時のとっつきづらい印象と裏腹にかなり聴き直した。
好きな曲は「自家製ベーコンの作り方」。上にこんなことを書いておきながらアルバム中一番暖かい歌モノじゃん、というのはあるけど、こういうアルバムに差し込まれる歌モノはフォーキーなアルバムの歌モノとは別の感動がある。
ステイ、気付かないふりをしていろ(水晶体に漂う世界)
5. スピッツ / ひみつスタジオ
「i-O(修理のうた)」に象徴されるように、コロナ禍による活動制限からの復帰、その喜びを全員で歌い上げるようなアルバム。というか、実際「オバケのロックバンド」では全員がボーカルを取っている。
「美しい鰭」「大好物」のようなタイアップのヒット曲あり、「さびしくなかった」のようないかにもスピッツらしい甘いだけではない恋愛観の曲あり、そういった大充実のアルバムのラストを締めくくるのは音楽で・ライブで人と出会う喜びを歌う「めぐりめぐって」。しんみりする曲など入っていないのに、初聴時から泣いてしまった。いいアルバム、という感想よりも先に、いいバンド、という感想が来る一枚。スピッツ、いいバンドすぎるぜ……
好きな曲は「大好物」「さびしくなかった」あたり。アベレージが高い。
世界中のみんなを がっかりさせるためにずっと
頑張ってきた こんな夜に抱かれるとは思わず
ひとつでも幸せをバカなりに掴めた
デコポンの甘さみたいじゃん(めぐりめぐって)
6. Disclosure / Alchemy
良質でポップなハウスが詰め込まれたアルバムで、どこを取っても踊れない瞬間がない。Disclosureを今まで全く聴いたことがなく、このアルバムがあまりに良かったので過去作も聴いてみたのだが、あまりハマるものはなかった。このアルバムだけが突然刺さっている。ゲストボーカル無しというのも効いているのかもしれない。
今年は出社が増えたのもあり、外でサクサク移動しながら聴きたい曲を探していたので、そういう気持ちにこの一枚がハマったというのも大きい。実際、去年は結構SSWやジャズの新譜も聴いていたけど、今年はロックとダンスミュージックが多い気がする。中でも、一番聴いていたのがこのアルバムだった。「Looking For Love」のビートが入った瞬間に身体が動き出す。
Higher than ever before(Higher Than Ever Before)
7. 君島大空 / no public sounds
RUSHを彷彿とさせるプログレッシブなギターが炸裂する「札」から幕を開けたアルバムは、どこまでもポップな君島大空の歌を軸に、しかしそれを時にささやかに、時に過剰なまでに装飾するバンドサウンドと共に進んでいく。その緩急は「この歌メロならこれくらいの伴奏」というイメージを吹き飛ばすような勢いで、あくまでバンドサウンドでhyperpop的なものをやっているような印象すらある。GRAPEVINEのインタビューでも言っていたけど、今一番ポップかつ尖ったバンドサウンドを聴かせているのはロックバンドではなく君島大空、カネコアヤノのようなSSWを中心とした楽隊なのかもしれない。君島大空は今年のうちに2作のアルバムを出している(!)が、バンドの熱が宿っている2作目、つまりこちらの方が好き。
好きな曲は「c r a z y」。等身大の叫びが宿る歌詞も、そのまま慟哭するような歌声もグッと来る。
しつこくこの世で手を取って踊っていたい
この世で手を取って踊っていたいの!(c r a z y)
8. Sufjan Stevens / Javelin
とにかく多作でカラフルな人というイメージだったSufjan Stevensだけど、今作は音も歌詞もぐっと内省的。それでいて、カラフル。ぽつぽつと弾かれるピアノやアコギ、囁きのようなローファイの歌声は、独白というよりはむしろ親密な告白のように聞こえる。その「自分にだけはわかってほしい」と訴えかけるような歌声と宇宙的な広がりに、思わず心を掴まれてしまう。今年のグッと来るシンガーソングライター枠はこれかもしれない。
「Will Anybody Ever Love Me?」や「So You Are Tired」に至っては、そんなコト言わないで……と肩を抱きたくなるほど。それでいてラストの「There's A World」は微笑みとともにさらっと幕を閉じるようなのだからすごい。
Will anybody ever love me?
In every season
Pledge allegiance to my heart
Pledge allegiance to my burning heart(Will anybody ever love me?)
9. littlegirlhiace / INTO KIVOTOS
アルバム名と曲名から察せられる通り、おそらく『ブルーアーカイブ』をイメージソースとしたアルバム。歌詞はキャラクターを眼差すなかに願望や欲望を混ぜ込んだものなのだけど、個人的にはそういう「願い」を隠さない二次創作が一番好き。その上で、まっすぐなオルタナロックの曲調に、かなりローファイな音像も手伝って、その願いが音楽のいわゆる「初期衝動」にまで結びついているようで、かなり食らってしまった。これはもちろん、ぼくが10年来の東方二次創作ロックリスナーであるという素地もあるんだろうけど。
一番好きな曲は「cetacean」。Bメロに挟まる美しい比喩の情景からストレートな呼びかけのサビになだれ込む構成も好きだし、Cメロのキメもカッコいい。キャラ名を紛れ込ませる小技もいい。歌詞が好きなのは「Aris」も。
本当のキミがどんなやつだって
悩ましい未来が待っていたって
関係ないだろう ちょっぴり傷だらけの
ハッピーエンド探さなくちゃ(Aris)
10. THE NOVEMBERS / THE NOVEMBERS
2枚目のセルフタイトル(正確には前回はEPなのだけど)だが、それだけに今のノベンバのカッコよさを凝縮したような一枚。ラウドで疾走感がある「BOY」から始まり、80年代的なきらびやかさに満ちた「Seaside」、轟音と絶叫に支配された「誰も知らない」、そして歌謡曲趣味が昇華した美しさの宿る「かたちあるもの、ぼくらをたばねて」。ここまで多彩なのに、これら全てがまさしくこのバンドの魅力だと今まで感じ続けてきたものの結晶だという感覚がちゃんとある。まさにセルフタイトル以外ない、ノベンバの最高傑作、ひとつの到達点じゃなかろうか。
小林祐介がTHE SPELLBOUNDでも精力的に活動していたように、メンバーはそれぞれの活動にも注力していたようだけど、その中で「THE NOVEMBERSとして何をやるか」という問いの答えがこういったアルバムに結実したことが何よりうれしいという気持ちもある。THE NOVEMBERSとして音楽をやることの喜びが溢れているような一枚でもあり、そうした雰囲気は「バンドサウンドを楽しむ」という今年の個人的なムードにもぴったりハマった。今年を締めくくるのにこれ以上ない一枚だったのでは。
好きな曲は「Cashmere」。この異形のベースラインもまた唯一無二の魅力だ。「かたちあるもの、ぼくらをたばねて」「抱き合うように」の歌モノも大好き。
めんどくさいね 生きることって どうしようもなく
うまく歌えない それだけで
嬉しかったこと思い出せなくなっても 僕らは歩こう どこまでも(抱き合うように)
2022年良かったアルバム10選
順不同です。
- 1. Yard Act『The Overload』
- 2. Zeal & Ardor『Zeal & Ardor』
- 3. 大石晴子『脈光』
- 4. OMSB『ALONE』
- 5. ゆうらん船『MY REVOLUTION』
- 6. black midi『Hellfire』
- 7. Harry Styles『Harry's House』
- 8. サニーデイ・サービス『DOKI DOKI』
- 9. スカート『SONGS』
- 10. betcover!!『卵』
1. Yard Act『The Overload』
youtu.be 年始に登場した傑作。サウスロンドンのポストパンクシーンの流れに連なりながらも、彼らの特徴はとにかく前のめりなこと。ポストパンクの纏う陰鬱さを振り切るようなビートと畳み掛けるような歌唱に圧倒された一枚。
2. Zeal & Ardor『Zeal & Ardor』
zealandardor.bandcamp.com ブラストビートと歪みきったギター、確かにメタルサウンドではあるものの、全体に息づくのはむしろアフロビートあたりを思わせるようなトライバルな律動。その邪悪な奔流をスッキリと聴かせる分離の良さも光る。あざといほどにキメる「Death to the Holy」が好き。
3. 大石晴子『脈光』
youtu.be どこか心に引っ掛かる歌詞選びもさることながら、独特のアーティキュレーションが魅力的な一枚。息の置き方やグリッサンドで絶妙に体制を崩されるというか、内側に入ってこられてしまうような雰囲気がある。ロバート・グラスパー的なサックスとディストーションギターが沁みる「季節を渡れ」が一番好き。
ただ好きというだけで二人はまた
微笑んだりする
4. OMSB『ALONE』
youtu.be
今年一番聴いた一枚。タイトル通りゲスト参加もなく、内省に終始するアルバムながら、同時に根底にあるのは対話だということも強く感じる。それは言葉を発する以上当たり前のことなのかもしれないけど、自分なり他人なりの相手がいて、相手に向かって自分の思うことを話す、というプリミティブな営為になんだか感動してしまう。
現在と回想をrewindしつつ包括の実感に至る「大衆」は文句無しに傑作。
俺がこのサンプルをいじってループした時
きっと俺にずっとついて回る曲だと確信した
5. ゆうらん船『MY REVOLUTION』
youtu.be フォーク寄りだった前作から一転、打ち込みやオートチューンも入るダンス色が強い一枚に……と説明されるのだが、ダンスミュージック的な無機質さはなく、終始輪郭がぼやけるような温かみと苦しみに満ちている。
頭も身体も心までも
全然平気さ 僕らのものだよ
6. black midi『Hellfire』
youtu.be 1stではポストパンクシーンの代表選手として捉えられたblack midiだが、混沌と再構築を推し進めた結果完全に独自の領域に突っ込んでしまっている。パワフルなドラミングと絶叫、怒涛のプログレ展開に不意の歌心を覗かせる構成はThe Mars Voltaを思わせるところもあるけれど、時折垣間見えるチェンバーの諧謔とポストパンク的なビートの強さは独特。「Eat Men Eat」が一番好き。
7. Harry Styles『Harry's House』
youtu.be タイトル通り内省的なアルバムながら、揺るぎないポップネスとディスコの輝かしさが絶妙な一枚。もう戻らない痛みと悼みをキャッチーすぎるくらいキャッチーに歌う「As It Was」が象徴的。
8. サニーデイ・サービス『DOKI DOKI』
youtu.be 再生ボタンを押して一音目から掴まれてしまう。「青い海のような悲しみに ああ、何が言えるだろう?」「あなたのそばに行き歌を歌ってあげたいな」という思いを赤い風船に託す、そういう痛切さと原点回帰的なバンドサウンドの喜びが綯い交ぜになったような一枚。
9. スカート『SONGS』
youtu.be 13曲38分、短い曲では1分台。スカートの「うた」を濃密に感じられる一枚。タイアップ曲が多いようだがアルバムとしてのまとまりは十分感じられ、行き止まりからのかすかな希望を感じられる構成が感動的。スカートの歌を聴くと胸を締め付けられるような懐かしさと夕暮れの香りを感じることが多いのだけど、今作もやはりそうで、特に「標識の影・鉄塔の影」が一番のお気に入り。
10. betcover!!『卵』
youtu.be
12/21に出たばかりのアルバムでまだ聴き込めてはいないけれど、これを入れなきゃ流石に嘘なので。
スタジオ一発撮りだという今作では、前作以上にプログレッシブロックやジャズロックに接近しており、刻一刻と表情を変える緊張感と憂いに満ちた歌唱が絶妙なバランスで同居している。特にKing Crimsonもかくやと思わせるほどの哀愁ボーカルによるビルドアップが炸裂する「超人」は聴き応え抜群。文句無しに彼らの最高傑作だと思う。
【番外編】
EPは選外としたが、今年はいいEPも多かった。
どんぐりず『4EP3』
Nagakumo『EXPO - EP』
PUNPEE『焦年時代 - EP』
あたりが気に入っている。
