ワー

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雑記

狂い咲きハンマービート

クラウトっぽい曲を聴いていて、ふとミヒャエル・ローターの来日公演に行った時のことを思い出した。
当日の会場は以前に行ったこともある、徒歩圏内の小さな箱で、「ここであのミヒャエル・ローターが???」と不思議に思った覚えがある。けど今になって考えてみれば、よっぽどの超人気でない限り地方都市の来日公演なんてそんなもんだ。実際その日も同姓同名の別人とかではなく、本当にあのNEU!ハルモニアクラフトワークと伝説を残し続けてきたミヒャエル・ローターが、埃っぽくて、狭くて、段差が危なくて、コンクリート打ちっぱなしの箱のステージに現れたのだった。
ステージ上にはミヒャエル・ローターとドラマーの二人、そして大きなスクリーンがあった。VJが控えていて、曲ごとに単調な映像を流しているのだ。ぼくはそれまで映像がつくライブを見たことがなかったので、なんとなく不思議な気持ちで見ていた。まあ確かにこの近さとはいえおじいさん2人では殺風景かも、とか、それにしてもこの映像では余計眠くなるな、とか、失礼なことばかり考えていた気がする。けれど、次の曲でその印象は変わった。
ミヒャエル・ローターがギターを構え、控えめにカッティングを始める……と、会場はにわかに沸き立った。誰もが待っていたであろうド名曲、「Hallogallo」だ。

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するとスクリーンの映像が、一台の車を映したものに切り替わる。カメラが引いていくと、道路はコンクリートの台座によって高く浮かされており、森の上をまっすぐな道がどこまでも伸びているのがわかった。その、他に誰もいない高速道路を、車がひたすら走っていく。そして、力強いハンマービートが始まった。
初めは特に気にしなかった。前の曲と同じ、よくわからん映像である。しかし、しばらく見ているうちに、これだ!という思いが湧き上がってきた。これが、このアウトバーンのような道をどこまでも走るイメージこそが、ハンマービートなんじゃないか?
今になってちゃんと考えれば、ぼくはハンマービートに孤独と前進の運動を感じ取ったのだと思う。トランスのような狂騒的な盛り上がりもなければ、ディスコのようなその場の縦ノリもない。けれど、独りで静かに、けれどどこか狂気を孕んだように、どこまでもひたすら前を目指して走っていく……そういうイメージである。VJの予測と、ぼくのテンションが、そのときちょうど噛み合ったのだ。もはやどんな演奏だったかは忘れてしまったが、その時は相当気持ちよくクネクネできたような覚えがある。
思い出してたらまたライブに行きたくなってきた。ミヒャエル・ローターはそれから一度も来日していないが、まだ元気にライブをやってはいるようだ。より年上のロバート・フリップ率いるキング・クリムゾンなんかも元気に最後の来日詐欺を繰り返していることだし、もう一度くらい、見ることはできないだろうか……その際には、また映像にも注目したい。

よかったもの

かっこよすぎ。未来派っぽい

ワ……!

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Tele倶楽部 - ピーナッツくん

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良すぎて笑っちゃった。ピーナッツくんのHIPHOPへの造詣の深さは今更触れるまでもないが、ベースのぶっといTRAPや、Hyperpop的な音割れシンセなどもあり、今回も感度の高さが十分に発揮されている。ゲストの豪華さもあり、アルバム二枚目にしてさながらUSヒップホップの大物アーティストのような貫禄。この声を作りながら多彩なフロウを放つスキルの高さはもう前作まででも十分証明されているが、今回は異常なオートチューン適性が際立ち、声を作る違和感がより感じられなくなったような気がする。いや、ホントにオートチューン似合うな……
ゲストの起用の仕方もすごい。よくあるコラボ曲みたいに「それっぽい役をさせる」のではなく、完全にやりたいこと優先で欲しい声を当てにいっている。特に名取さな起用の「ペパーミントラブ」は意外な曲調と歌詞でポップにまとまっており好み。すごいぜ、ピーナッツくん……!
でもここまでやられると、普通に兄ぽこの声でやる曲も聴いてみたくなっちゃう。次のアルバムではやってくれませんか?ダメですか?

アンソニー・ドーア『すべての見えない光』

一章読むたびに泣きそうになるので放置していたが、再び手にとったところ、一章読むたびに泣きそうになった。言葉は悪いがキャッチーに言えば、エモの化け物みたいな小説。表層的に真似ようとしてみたこともあるが、改めて読んでみると到底無理な挑戦だったことがよくわかる。豊かな詩情と淡々とした文の切り方のバランス、流麗なリズム、描くものと描かないものの選別、どれをとっても真似できる要素がひとつもない。明らかにド名作だ。
500ページほどとなかなかの厚さだが、まだ半分も読めていないのに「これだけ読んだら終わってしまうのか……」という寂しさがすでにある。そして、やはり一章読んだら泣きそうになるので疲れる。置いておきたくなる衝動を必死にこらえ、なんとか今月中には読み切りたい。

筋トレ

懸垂 自重 * 5 * 1, 補助26 * 10 * 3, 補助33 * 7 * 1
マシンローイング 35 * 10 * 1, 35 * 7 * 2
インクラインアームカール 7 * 10 * 3
マシンリアレイズ 18.1 * 10 * 3
減量は終わったので、ここからは重量を追っていきたい……のだが、未だにあんまり匂いがわからないせいで食欲が今ひとつ。筋肉つけて~ でもメシくいたくね~