ワー

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雑記

オタク文

SSを書き終わった。村上春樹っぽいのがやりて~と思って手を出したが、村上春樹はめちゃくちゃ小説が上手いということがわかっただけだった。村上春樹っぽいことを意識しなかった部分のほうが圧倒的にいい感じになっている。
個人的に今回感じた村上春樹の上手さというのは、主にスケッチと構成のうまさ。彼の小説では比喩の綺麗さや会話のオシャレさが取りざたされることが多いが、そうした一部分だけではなく、情景と会話の淡々としたスケッチで(モノローグではなく!)より大きな物を描ききる手腕がすごい。そして、そうしたことを可能にするためには、綿密な構成と、いくつもの象徴が必要になる。初期の短編はスケッチに終始しているようにも見えるが、あとのほうに書かれた短編ではそうした緻密さがより際立って見える。
形だけ淡白さを真似ようとしただけで、そうした綿密さは自分にはなかったな、と反省すると同時に、今回はシンプルに文章、というかいわゆる”地の文”の下手さを実感することにもなった。これは毎回しているのだが……ということで、今日から『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』に手を出した。文体の舵、取っていきたいですね。

よかったもの

omocoro.jp

上の記事から「とりあえず一つ見るか……」と思って再生した下のコントがめっぽうよかった。コメントは原宿氏が全て言って(言わないで)くれている。

youtu.be

・・・・・・・・・ - Points

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2020年の作、グループ解散に伴う総決算的アルバム。「・・・・・・・・・」は決められた読み方のないアイドルグループで、メンバーの名前も全員「・」というどういう推し方をされていたのか気になる団体なのだが、この『Points』はガチガチのシューゲイザーからテクノ、アヴァンロックまでが儚いボーカルによって繋ぎ合わされたすさまじい強度のアルバムになっている。特に一曲目の「しづかの海」はマイブラ直系っぽいリフに美しい歌メロが乗る最高のシューゲイザーなのだが、それもそのはず、楽曲提供はFor Tracy Hydeの夏bot氏。すさまじいこだわりを感じる。
アイドルの曲はボーカルが不自然に強調されていることが多く(しかも大抵そんなに歌いこなせてない)、普段あまり手が伸びない。けれど今作はミックスもアイドルらしからぬ、もっと言えばシューゲイザーらしいボーカルの退き方になっている。それでいてコーラスの美しさや儚さは魅力たっぷり。かなりの名盤。

Fontaines D.C. - A Hero's Death

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2020年の作。UKのポストパンクバンドだが出身はサウスロンドンではなく、グラスゴー。もっともサウスロンドンポストパンクシーンの勃興より、こちらのバンドのブレイクの方が早かったようだ。
切れ味鋭いミニマルなリフと無造作なボーカル、確かにポストパンクなんだけど、ガレージっぽいギターや時折表れる叙情的なメロディが温かみを添えている。