ワー

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雑記

臆面

知人が就職するにあたって「俺はずっと文化人でいたい」と嘯いていたという話を聞かされて、素直に感心してしまった。なんか……そんなん、仮に思ってても普通言えなくない!?
割と昔からだけど、様々な打算や照れが働いて言えないようなことをハッキリと言い切る人を見ると感動してしまう。5年くらい前に見たライブでTHE PINBALLSのボーカルが「ロックンロールが、好きだから……」と泣き始めた瞬間を未だに覚えている。ぼく自身ちょっと通ぶりたいとか気の利いたチョイスをしたいみたいな欲望が強いので、 余計それを飛び越えてくる発言に憧れてしまうのかもしれない。

飛躍

逆に、素直な答えが予想される場面で、飄々とナンセンスな回答をされると一気に掴まれてしまうということもある。最近は『白い薔薇の淵まで』の「人生のモットーは?」「野球は見ない」というような受け答えになんだか食らっていた(この答えには後に重要な意味付けがされてしまい、ちょっとガッカリした)。某nykkさんもそういった受け答えがやたら上手かった気がする。こういうのはなんなんだろう、洋画っぽいイメージもあるし、アメリカンジョークの一種なんだろうか。ちょっと憧れるけど、むしろ上記の臆面もない素直な回答よりこちらの方が、猛烈に自分に自信がある人向けな気がする。「相手を煙に巻く」というのは、煙に巻いても興味を失わせない自信があるor煙に巻くことが魅力だと自覚している人にしかできないコミュニケーションだ。もしくは全く相手に興味がない人。

よかったもの

OMSB "ALONE" ワンマンライブ

先日ツイッターでリプライをいただいて無事チケットを取れたが、その後SOLD OUT。追加販売分も一瞬で売り切れたっぽい。平日の夜にも関わらず、WWWXはもう床に描かれたマス目が全部埋まる勢いでギチギチ、これ以上はないだろうというくらいの人入りだった。あの時リプライもらえてよかった~。
ライブは基本的に新譜『ALONE』をなぞりながら、時折仲間を呼んだり以前の曲をやったりする形式。OMSBは「祈り」のイントロと共に出てくるなり「マジか」「すげえな」と笑みをこぼして、その後も興奮を隠せない様子。途中のMCでは「以前は『マジで?』と思うほど人がいないこともあった」「今日この景色だけで一生ニコニコできるわ」とこぼす場面もあった。そして何度も口にしていたのは「来てくれてありがとう」という感謝の言葉。「ヒップホップってあれでしょ、感謝するんでしょ、とか言われることもあるけどさ」「感謝しない奴よりする奴のほうがいいからね」
アルバムを聴いた時点で本人の内省的で優しい性格は伝わってきていたけれど、ライブで観てみるとよりその色が濃くなるというか、ラップが喋りの延長線上にあるということがよくわかった。MCと楽曲はシームレスに繋がり、仲間の登場すらもシームレスに行われる。OMSBがライブで『ALONE』の曲をやったのではなくて、彼自身の日々が結晶したものが『ALONE』であって、今日はその世界に引き入れてもらったのだということがよくわかった。そして、観客たちもみなそれを理解しているようだった。途中現れたPUNPEEが「今日はALONEたちがたくさんいるね」と煽っていたけれど、かなり的を射た発言だったように思う。
曲としてはもともとアルバム時点で「大衆」が一番好きだったけれど、今日生で聴いてますます好きになった。というか聴きながらほぼ涙ぐんでしまった。いわゆるありふれた幸せを実感した瞬間、今までとこれからのありふれた幸せから縁遠い人生が逆に肯定される。リリックの構成から着眼点からそれ自体が非凡なド名曲ですよこれは。「お前も今日から大衆だ」。その言葉選びの意外さに、途方もない実感の強さを感じてしまう。