ワー

8/7

雑記

情報量

ついに鼻がやられた。
今朝から妙に鼻水が出始め、鼻の奥がツンと痛むように。風邪のときの急性副鼻腔炎と似たような感じだが、その他にもなんだか説明しづらい違和感がある。鼻に、見えないカバーをかけられているような……鼻田香作になったような気分だ。
何とはなしに食事をしてみると、なんだか味がシンプルに感じる。まさかと思い手に香水をつけて匂いを嗅いでみると、全く感じないわけではないのだが、かなり鼻をくっつけないと匂いがわからない。香りに弱い人間なので、普段は手になんてつけたら吐きそうになるくらいなのだが……これはもう完全に嗅覚障害である。鼻詰まりともまた違う、嗅覚にデバフがかかったような妙な感じ。
試しに冷蔵庫にとってあったちょっと良い裂けるチーズを食べてみる。このチーズは初めて食べた時、スーパーのものとは全く違う乳製品のコクに驚かされたはずだ。が、今回は単なる塩味しか感じられなかった。風味が完全に死んでいる。それはそうだ。香水ですら鼻をくっつけないといけないほどやられているのだから、食品の香りなどわかるはずがない。
ちょっと良い食品をちょっと良いものたらしめているのは、その情報量であることが多いと思う。口に入れた際の風味、コク、そうしたものが複雑な高級感を生んでいるのであって、それは舌で感じる情報だけではなく、鼻で感じる情報に負うところも多い。しかし嗅覚障害の間は後者が限りなく削ぎ落とされるので、そうした情報量の多い食品も、情報量のあまりない食品と変わらなくなってしまうっぽい。要するに何食っても一番安いメシの味がするということだ。これは、どうすればいいやら……
とりあえずは、匂いに依存しない変化として①食感 ②刺激 を試してみたいと思う。でも結局、その程度ではうまい食事にはありつけなさそうだな。おいしくないものに食感の変化があるのはかえってイラつきそうな気がするし、ベースブレッドとか買いためておけば良かったかもしれない。

オタク読書会

月例のオタク読書会を行った。喉は痛いが喋る分には全く支障ない。
今回は資料に書くことが思いつかなかったので、自分のターンは個人発表ではなく自由に茶々を入れてもらうフリートーク形式にした。案外盛り上がった上に意外な視点が出てきたりしたので、結果としては良かったのではないかと思う。ぼくの発表は毎回視点の鈍さと準備不足からグダグダな感じになってしまうので、もう毎回これでいいんじゃないかとすら思える。だとしても、トピックをわかりやすくするため程度の資料は必要だろうが。

よかったもの

note.com

Locanda delle Fate - Forse le lucciole non si amano più

youtu.be

陽性を知らされたので(このアルバムの邦題は『妖精』)。
イタロシンフォプログレの名盤だが、今まで聴いてこなかったのでこの機会に。イタリアらしい叙情性に満ちた、しかし繊細で美しいアンサンブル。多少荒っぽいボーカルもまた味だが、ここは好みが分かれそうだ。ドラムもちょっと野暮ったく聞こえる。けど悠々と歌うメロディの魅力はそれをカバーして余りある。
上に貼ったのは公式の動画で、2010年のライブらしい。まだまだ現役なのか!と思ったら実はこの1stアルバムとシングル2枚を出した時点で解散しており、数十年後にボーカル不在で再結成されたとか。『妖精』が出たのはイタロプログレブームも終わりにさしかかったころ、やはり時流は厳しかったか……いいアルバムであることに間違いはないと思います。

panpanya『おむすびの転がる町』

panpanya先生の最新作『魚社会』が出た!ということでまだ前作を読んでいないのを思い出した。こんなんばっかりだ。
同作者の現実に立脚した話のなかでも『グヤバノ・ホリデー』はどこまで本当なのか?とオドオドしながら読み進めた覚えがあるが、今回の「筑波山観光不案内」はだいたい行ったことのあるところだったので大体ウソだということがわかり安心して読めた(?)
相変わらず、日常のちょっとしたズレ・不安感などを膨らませていくのがうまい。例えば表題作、おむすびころりんから「おむすび以外のものが辿り着けない落下ルートがある」という発想に持っていくのは並大抵じゃない。そしてそんな中に挟まれる「カステラ風蒸しケーキ物語」のようなほのぼのしたエッセイもまた味わい深い。
気が遠くなるようなハッチングだが、この作風で年一ペースで単行本が出るのは相当すごい気がする。『魚社会』も買ってあるが、2冊続けて読むのはとんでもない贅沢な気がしてしまうな。読むけど。