ワー

9/1

雑記

半休百貨店

半休を取って二度目のワクチン接種を受けた。自然抗体は3ヶ月ほどで減衰するのでコロナ感染者でもワクチンは打つ必要があるし、(治療法によるが)打っても問題ないらしい。会場でコロナ治癒済であることを記載した問診票を見せたところ、「大変でしたね」と声をかけられたのがよかった。そうしたほんの少しの歩み寄りを見せられることで、随分相手のことを信頼してしまう気がする。そして、信頼がなければ身体を預けることはできない。医は仁術とは言うが、仁術だと思わせられなければ患者は離れていくのだろう。
今のところ思ったよりも副反応は薄く、一回目同様腕が痛い程度で済んでいる。おかげで、シャニマスの溜めていたシナリオをだいぶ読むことができた。買い物もしたし、味がわからないながら自炊もした。たとえ半休でも、休みがあると一気に生活が豊かになる。重ね重ね、休日出勤はしないほうがよい。

よかったもの

様々なラッパーが様々に叩かれるなか、ZORNは一生好感度を上げ続けていてすごい。

hiphopdna.jp 「啓蒙されて仲間に入った」ことを示すという禊の仕方もあるのだな。

どんぐりず - 4EP2

youtu.be

延期になっていたと思っていたら8/18に出ていた。UKっぽい1曲目からトリップホップっぽい5曲目まで、多彩な楽曲が並ぶ。徹底的にダンスをやっていた4EP1とは違い今回はチルに振っているところがあり、キツいリリース間隔のなかでも漠然とした作品は出すまいというエンターテイメントへの矜持が感じられる。どんぐりず、流石だ……

Boris - No

boris.bandcamp.com

2020年のアルバム。もとは自主制作盤だったが、レーベルから改めて8/27にリリースされた。今回はドローン的要素が薄い代わりに短くハイスピードな曲が多く、確かにハードコアパンクが下地にあることがわかる。

news.yahoo.co.jp

インタビュアーが暴走していてすごい。歌詞カードはあえてつけていないらしいが、正直まったく聴き取れない。

エーリッヒ・フロム『愛するということ』

コロナに罹ってからずいぶん放置していたが、ようやく読み終わった。後半は資本主義と愛の関係、その中でとりうる態度についての話が続き、かなり面白く読めた。下のシャニマスのイベント感想と重なるところも多いので(そんなことある?)(あるよ)、感想は明日書く。

さざなみはいつも凡庸な音がする

シャニマスの新イベントを読んだ。今回は思いの外短めのイベントだったが、ノクチルの成長が描かれる……と思いきや「成長とは何か」という話になり、そのまま成長を否定するのかと思いきや幅をもたせて終わる。相変わらず一筋縄ではいかない。
ここで「成長」を考える上でキーになるのは、(今周のイベント共通のテーマでもある)ファンからの目線だ。ファンは企画でノクチルにやらせたい企画、つまりしてほしい成長を決めたが、その事実は小糸以外には響かない。

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言語化がうまい上に実践も伴っている。ラップバトル超強そう
しかし、雛菜もここまで言っておきながら、ファンの期待に応えたい小糸を否定することはない。小糸があくまで「そうなりたい」のなら、それは成長になるというのだ。
ここでひとつの転回が起きる。これまで周囲から求められるものだった成長が、自発的な欲求を基とするものに変わる。そしてその転回は企画そのものにも波及していく。最後には、求められている成長をパッケージングしてファンに見せようという番組が消滅し、ノクチルの4人自身の希望を取り入れた新企画が立ち上がることになる。
数日前に書いたこととも繋がるが、これは資本主義的な価値観から人間主体の価値観へ移動する試みとも言えると思う。資本主義下では人間も自らを市場へと投げ出し、価値を認められるべく「成長」を続けていくことが求められるが、今回のノクチルはその終わりなき競争からドロップアウトしてみせた。
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市場におけるアイドルの評価軸。SHHis登場後の今では「面白くないとだめ」が重い
小糸の思いはやはり市場からの要請を内面化していて、「こうならないと」という義務感が先に来てしまっていた。そこで雛菜は、あくまで「こうなりたい」という自分の欲求が先に来なくてはいけないと示すことで、周囲との競争で擦り減っていくことを避けたのだと思う。
個人的には、こういう資本主義のオルタナティブとして取りうる態度というのが最近の関心事なので、今回のイベントはかなり面白く読んだ。最後の最後で、衆目に晒される「ノクチル」から「幼馴染4人」に変わったのはかなりカッコいいし、先日四人の名前が並び「ノクチル」タグが消えたツイートがあったのもそうした効果を狙っていたことがこれで明白になったと思う。

あくまで消費される対象にすぎないにせよ、消費のされ方は主体的に選んでいけるし、選んでいけるという意識を持たねばならない。ノクチルは我々に、そうした資本主義に呑まれない態度もあることを教えてくれる。たぶん。
もちろん、そうした態度は彼女たちが自立していないから――とるべき態度に生存がかかっていない、高校生という身分だからとりうるものだし、そのまま誰かの指針になるということはおそらくないだろう。けれど、彼女たちのそうした有り様を見て、勇気づけられることくらいはできるんじゃないか。それが、アイドルというものの力なんじゃないだろうか。たぶん。